ベータアラニン

betaalanine

ベータアラニンは、疲労を軽減し、持久力を高める「カルノシン」という成分の元になるアミノ酸です。渡り鳥やマグロ、カツオなどが休むことなく長距離を移動することが出来るのは、カルノシンを多く蓄えているからだと考えられています。

ベータアラニンをサプリメントとして摂取することで、カルノシンの合成量を増やし、体内のカルノシンレベルを引き上げることが可能です。カルノシンの持つ疲労軽減と持久力向上効果によりトレーニングのボリュームが増えるので、ベータアラニンの摂取は筋量増加にも貢献してくれます。

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ベータアラニンとは

基本情報

ベータアラニンはアミノ酸の一種です。筋肉の中でヒスチジン(必須アミノ酸の1つ)と結合して、カルノシンというジペプチド(アミノ酸分子が2個結合したもの)を作ります。

カルノシンは筋肉の疲労を軽減する成分として知られており、渡り鳥やマグロ、カツオなどが休むことなく長距離を移動することが出来るのは、カルノシンを多く蓄えているからだと考えられています。

betaalanin

ベータアラニンの摂取は体内のカルノシンの合成を促進するため、疲労軽減や運動パフォーマンス向上に効果を発揮します。カルノシンの合成量は加齢とともに減少するため[1]、年齢を重ねるにつれて、より多くベータアラニン(もしくはカルノシン)の摂取が必要になります。

ベータアラニンとカルノシン

カルノシンは、ベータアラニンとヒスチジンという2つのアミノ酸が結合してできたジペプチドです。骨格筋中に多く存在しますが、分子サイズが大きいため、カルノシンを摂取してもそのままでは筋肉の細胞内に入り込むことができません。そのため、一旦体内でベータアラニンとヒスチジンに分解され、別々に細胞内に運ばれてから再合成されることになります。

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その際のカルノシンの合成量は、体内に存在するベータアラニンの量によって決まります。ヒスチジンではなくベータアラニンの量により決まるのは、ヒスチジンは筋肉内に元々多く存在するため、不足することがほとんどないからです。

つまり、体内のカルノシンを増やすためには、ベータアラニンを十分に摂取して、カルノシンの合成を高める必要があるのです。ベータアラニンは肝臓でも合成されますが、ベータアラニンを直接摂取することにより、より効果的に体内のカルノシン量を高めることができます。[2,3]

なお、カルノシンを摂取した場合はベータアラニンとヒスチジンに分解されてから筋細胞内で再合成されることになるので、サプリメントとして摂取する場合は、カルノシンではなくベータアラニンの形で摂取するのがベターです。

ベータアラニンの効果

疲労軽減

ベータアラニンの摂取は、疲労の軽減に効果があることが複数の研究で確かめられています。[2-6] これはカルノシンの持つpH緩衝作用によるものであると考えられています。

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運動を行うと体内に大量の水素イオンが発生し、血中のpHバランスが崩れて酸性に傾き、これが疲労の原因となります。カルノシンは、水素イオンを中和して体内のpHバランスを保つことにより、疲労を軽減してくれるのです。

また、カルノシンはイミダゾール基を構造に持つイミダゾールペプチドとして有名です。イミダゾールペプチドは強い抗酸化作用を持つため[7]、ベータアラニンの摂取により体内のカルノシンが増えることで、活性酸素によるダメージから筋細胞を守り、回復を早める効果も期待できます。

 パフォーマンス向上

ベータアラニンは、運動パフォーマンスを向上させます。現在報告されているのは持久的なパフォーマンスの向上が主ですが[3,5,6]、パワーやスプリント能力を向上させたという報告もあります。ただし、パワーやスプリント能力に関しては、今のところ統計的に優位な結果は得られていないようです。[8]

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ベータアラニンに関するメタアナリシス(*)によると、60~240秒間の運動において、最も高いパフォーマンス向上効果が得られるとしています。[9] 

ベータアラニンはウェイトトレーニングのボリュームを増やすという報告もあります。[7] これはカルノシンの働きにより疲労を感じにくくなるとともに、持久力向上効果によりレップ数が伸びたためではないかと考えられます。

また、カルノシンには筋組織のCa2+感受性を高める働きがあります。[10] これにより筋肉を収縮させる能力(=筋力)の向上も期待できます。

このようにベータアラニンは、パフォーマンスを向上させ、トレーニングの質を高めてくれる成分といえるでしょう。

除脂肪体重の増加

ベータアラニンの摂取と、ウェイトトレーニングやHIIT(高強度インターバルトレーニング)の組み合わせにより、除脂肪体重が増えたという報告はいくつかあります。[5,10]

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有名なものでは、大学生のレスリング選手とアメリカンフットボール選手に対して行われた研究があります。[10] この研究では、ベータアラニンの摂取させるグループと、偽薬を摂取させるグループに分けて、8 週間に渡り様々なトレーニングを行わせました。

アメフト選手のグループでは、ベータアラニンを摂取したグループは、除脂肪体重が2.1ポンド(約1kg)増えたのに対し、偽薬を摂取したグループは1.1ポンド(約500g)の増加に留まりました。また、レスリング選手のグループでは、ベータアラニンを摂取したグループは除脂肪体重が1.1ポンド(約500g)増えたのに対し、偽薬を摂取したグループでは逆に0.98ポンド(約440g)減少しました。

なぜベータアラニンを摂ることで除脂肪体重が増えるのかはよく分かっていませんが、トレーニングボリュームが増えることが間接的に作用しているのかも知れません。

ベータアラニンに関する主な研究報告

【1】陸上競技者の男性に、1日2.4~4.8gのベータアラニンを4週間に渡り摂取させたところ、カルノシンの存在量が、ヒラメ筋で47%、腓腹筋で37%増加した。また、限界まで繰り返しレッグエクステンションをさせた際の疲労が軽減された。[2]

【2】エリートボート競技者に1日5gのベータアラニンを7週間に渡り摂取させたところ、6000mのタイムが4.3秒速くなった。特に、ボートレースにおいて最もスピードの落ちる500~1500m付近でのスピードが速くなっていた。[3]

【3】大学生のアメリカンフットボール選手に1日4.5gのベータアラニンを30日間摂取させたところ、ベータアラニンを摂取した群では、有酸素パワー測定において疲労が大きく軽減された。また、ベンチプレスのトレーニングボリュームが増加した。[4]

【4】若い男性被験者に1日3~6gのベータアラニンを摂取させ、HIITを6週間行わせたところ、ベータアラニンを摂取したグループでは、最大酸素摂取量が増加し、疲弊するまでの時間が伸び、除脂肪体重が増加した。偽薬を摂取したグループでは除脂肪体重に変化は見られなかった。[5]

【5】若い男性被験者に1日6.4gのベータアラニンを4週間摂取させ、サイクリング能力テストを行わせたところ、疲弊するまでの時間が12.1~16.2%伸びた。プラセボ群では1.6~6.5%の伸びに留まった。[6]

【6】大学生のレスリング選手とアメリカンフットボール選手に対して行われた研究で、ベータアラニンの摂取と様々なトレーニングを組み合わせて行った結果、8週間ベータアラニンを摂取したアメフト選手のグループでは、300mシャトルランのタイムは平均で1.1秒縮まり、 90° flexed-arm hang (肘を90度に曲げてぶら下がる種目)の記録は3.0秒伸びた。[10]

ベータアラニンの摂取方法

1日4~6gを目安に摂取します。食後に摂取した方が食間に摂取するよりも、カルノシンの合成量が多かった(64% vs 41%)とする研究結果があるので[11]、基本的には食後に摂取するようにしましょう。

プレワークアウト的な使い方をしたい方は、お好みでトレーニング前に2~3g摂取すると良いでしょう。

ベータアラニンと合わせて摂りたいサプリメント

クレアチン

ベータアラニンとクレアチンを組み合わせて摂取することで、運動パフォーマンスの向上や疲労の軽減に効果があったとする研究はいくつかあります。[12]  はっきりとクレアチンとの相乗効果が確認されているわけではありませんが、ベータアラニンとクレアチンは作用する仕組みが異なる組み合わせなので、相性は比較的良いと考えられます。

Now Foodsのクレアチンが安くておすすめです。

ベータアラニンの副作用

ベータアラニンは一度に大量に摂取すると、顔や手などの皮膚がチクチクするベータアラニンフラッシュという短期的な感覚異常をきたす場合があります。健康上は全く問題ありませんが、こうした感覚が気になるようであれば、一日の中で出来るだけ小分けにして飲むようにしてみて下さい。

おすすめのベータアラニン

NOW Foods  ベータアラニン

やはり価格で選ぶならNOW社のものが一番です。こちらはパウダータイプの商品になります。

ベータアラニン100%の製品で、ヒスチジンは配合されていませんが、ヒスチジンは普段摂取している肉や魚、プロテインなどにも含まれているため問題ないと思われます。

 PROLAB NUTRITION ベータアラニン エクストリーム

こちらはベータアラニンだけでなくヒスチジンも配合したタイプです。カルノシンの合成に万全を期したいならこちらの方が良いかも知れません。

やや割高ですが、カプセルタイプなので飲みやすく、持ち運びにも便利です。

参考文献

[1] Creatine supplementation augments skeletal muscle carnosine content in senescence-accelerated mice (SAMP8). Amino Acids. 2012 Jul;43(1):25-37. doi: 10.1007/s00726-011-1200-z. Epub 2012 Jan 24.

[2] beta-Alanine supplementation augments muscle carnosine content and attenuates fatigue during repeated isokinetic contraction bouts in trained sprinters. J Appl Physiol (1985). 2007 Nov;103(5):1736-43. Epub 2007 Aug 9.

[3] Important role of muscle carnosine in rowing performance. Journal of Applied Physiology · October 2010 DOI: 10.1152/japplphysiol.00141.2010 · Source: PubMed

[4] Short-duration beta-alanine supplementation increases training volume and reduces subjective feelings of fatigue in college football players. Nutr Res. 2008 Jan;28(1):31-5. doi: 10.1016/j.nutres.2007.11.004.

[5] Effects of beta-alanine supplementation and high-intensity interval training on endurance performance and body composition in men; a double-blind trial. J Int Soc Sports Nutr. 2009 Feb 11;6:5. doi: 10.1186/1550-2783-6-5.

[6] Effect of carnosine on excitation-contraction coupling in mechanically-skinned rat skeletal muscle. J Muscle Res Cell Motil. 2004;25(3):203-13. 

[7] 新規抗疲労成分: イミダゾールジペプチド Novel Anti-Fatigue Compound: Imidazole Dipeptide 日本補完代替医療学会誌 第 6 巻 第 3 号 2009 年 10 月:123–129

[8] Beta-Alanine, Examin.com, https://examine.com/supplements/beta-alanine/#ref24

[9] Effects of β-alanine supplementation on exercise performance: a meta-analysis. Amino Acids. 2012 Jul;43(1):25-37. doi: 10.1007/s00726-011-1200-z. Epub 2012 Jan 24.

[10] Effects of β-alanine supplementation on performance and body composition in collegiate wrestlers and football players. J Strength Cond Res. 2011 Jul;25(7):1804-15. doi: 10.1519/JSC.0b013e3181e741cf.

[11]

[12] Effect of creatine and beta-alanine supplementation on performance and endocrine responses in strength/power athletes. Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2006 Aug;16(4):430-46.

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